インプラント 荒川区のエッセンス
産業界、事業者の自主的取り組みの推進を図るとともに、特に、民生・運輸部門の対策を強力に進める四、米国や開発途上国を含むすべての国が参加する共通のルールが構築されるよう、引き続き最大限の努力を傾けていく。
そして計画上は六%の削減を次のようにした。
エネルギー起源のCO2排出は、九○年度と同水準に抑制する。
内訳では産業部門は九○年比七%減、民生部門は同二%減、運輸部門は同一七%増に抑えるとする。
森林吸収分は三・九%程度を確保。
非エネルギー起源のCO2、メタン、一酸化二窒素は同○・五%分の削減。
革新的技術の開発、国民各層のさらなる推進は同二%分削減。
代替フロン三種は同二%増程度にとどめる。
残り(一・六%)は京都メカニズムを活用する。
数字の根拠があるのは、エネルギー起源のCO2排出分のみ。
残りは不確定な要素が強い。
そして、みかけの数字は「六%減」だが、実質での「二・五%減」は、京都会議前の日本案と変わらない。
小泉首相は会議の中で「美しい環境を未来に引き継ぐには、一人ひとりの取り組みが必要だ。
どうか国民各層の理解と協力を求めたい」と述べた。
さらに「目標達成は容易じゃない簡単じゃない、しかし、やっていかなきゃならない」と会議後に記者団に語った。
しかし、その言葉での決意とは裏腹に、大綱の対策を一つずつ眺めるとおかしさに気づく。
日本の官僚機構は多くの場合で優秀さを示す半面、時として奇妙な行動をする場合がある。
これはその一例だろう。
大綱は内閣府を事務局として決まる。
しかし、この大綱は各省庁から提出された数字を積み上げただけだ。
一連の数字は詳細だ。
例えば産業部門では「高性能工業炉の導入で温室効果ガスを三○万トン減らす」、運輸部門では「トラックでの速度抑制装置義務づけで八○万トン減らす」、追加策として「サマータイムを導入すれば二五万〜三三万トン減る」などの対策が列挙されている。
国による自然エネルギーの導入支援やトラックの速度規制の強化など、大綱の政策の一部は達成された。
だが、計画の大半は、国の希望で、財政や法律などの政策上の裏づけのないものが多数含まれる。
そして、各省庁が進めづらくなった政策、「整備新幹線」や「原子力発電」の推進でCO2を減らすとも明記されている。
京都議定書が、他の政策の目的に使われるようになった。
さらに「国民の努力」とされる部分では「シャワーを家族全員が一日一分間短くすることで九三万トン減らす」、「炊飯ジャーの保温を止めることで四四万〜八五万トン減らす」、「家族が同じ部屋で団らん。
暖房や照明利用を二割削減し、その結果三四一万〜四六七万トン減らす」などが記されている。
しかも、その結果得られると推計された削減量が、国の計画である大綱に堂々と掲載されている。
もし、本格的にCO2を削減するのならば、産業界に対する規制や、国民生活のコントロールなどの強制的な政策が必要だ。
CO2の排出量によって課税する炭素税などの措置も考えられるが、大綱には言及されていない。
「すること」は羅列されているが、誰の責任で、どのような負担をして、温室効果ガスを削減するのか明記されていない。
この決定に参画した岡本巌元資源エネルギー庁長官は、「強制的な規制措置を加えることは、現時点で国民の了承が得られる状況ではありませんし、経済の重荷になります。
まず、合意できる範囲の負担と自主的努力をして、効果を確かめようということです」と大綱の三権分立制度の下では、行政府の行動は、議会がチェックを行う。
米国では議会上院が狙いを説明する。
現時点では仕方のない政策かもしれない。
ただ、政府内にも、この大綱には批判的な見方があるようだ。
作成に関与したある官僚は、奇妙さ』を感じるかもしれません。
各家庭の炊飯ジャーの使用方法を管理したり、子供を自分の部屋から追い出して親と一緒にすごすように強制したり、国ができるわけありませんから。
個人的にはこのような対策を作りたくなかった」と認める。
各中央省庁の地球温暖化問題の担当者に、「温室効果ガスの削減対策はどうなっているのか」と問うと、必ず大綱に掲載されたその役所の対策について説明を受ける。
しかし、そこから「本当に達成できるのか」と踏み込んだ質問をすると、担当者の誰もが「無理でしょう」と答える。
国は無策なのだ。
ただ、それは仕方がない。
できること以上の制約を、京都議定書は日本に加えているためだ。
だからといって、国がCO2の規制を名目にして厳格に国民生活を規制することも、恐ろしい結果になりかねない。
国の担当者が、子供部屋をのぞき、炊飯ジャーやシャワーの使用を監視して歩く政策が、今の日本で実現するとは思えない。
「国益」の観点から、京都会議に批判的な姿勢をみせた。
しかし、日本では京都会議後、温室効果ガスについての政治の関心は急速に薄れる。
京都議定書に関する国会審議は二○○二年の二,三月に行われた。
衆議院は委員会議事録をインターネット上で公開している。
環境委員会での審議経過を追うと、新人の多い自民党議員からは目立った発言がない。
一方、野党議員からは、政府の温暖化対策の遅れの指摘が目立つ。
しかし、議定書の負担に言及した質問はほとんどない。
議論は盛り上がらず、問題を直視しないまま議定書は批准されてしまう。
京都議定書に批判的なある財界人は、議定書が国会で議論されていた時、自民党有力議員と懇談したことを振り返った。
その財界人が京都議定書の負担は大きく、日本の産業界の競争力を奪いかねない懸念を語ると、その議員はこう返答したという。
「議定書が国民に過度の負担を強いかねない国際協定であることは理解します。
しかし、負担を言及したら、選挙に落ちます。
議定書に反対したら、『反環境』のレッテルを貼られて選挙に落ちます。
国民の関心が薄れている以上、この問題にはかかわらずに放置したほうが賢明でしょう」。
京都議定書をめぐる状況について、日本を中心に分析してきた。
これらを踏まえて、現時点で日本にとっての京都議定書の成果と問題点はどのようなものか総括してみたい。
京都議定書の特徴は、温室効果ガス削減の数値目標を、国際法上の義務として設定したことだ。
数値目標には重要な利点がある。
目標があることによって、各国は排出削減計画を整備し、それに対応し政策措置を打ち出す。
日本の場合も中央、地方の行政機関が温室効果ガスの削減に向けて動き始め、これによって国民も関心を向けた。
また、産業界も温では逆に、日本にとって、京都議定書の負の側面はどのようなものか。
「日本にとって不利な数値目標を設定したこと」、「その数値目標は閉ざされた意思決定の空間の中で決まつまた、対外的には京都議定書の成立は日本外交にとって大きな成果だった。
第二次世界大戦後の日本は平和的手段で国際社会に貢献することを誓った。
環境分野は日本が技術力で貢献できる一番強力な「カード」だ。
大木元大臣は「議定書の成果は世界の人に『京都』の名とともに記憶されるだろう」と期待する。
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